心臓のおはなし

犬と猫の心臓病

犬や猫の心臓病は、血液のポンプ機能である心臓が十分に働かなくなってしまっている状態のことを言います。生まれつき持っている先天性心疾患と老化のため心臓が病態を発症した後天性心疾患と2つに大別され多くは後者の心臓病が多いです。心臓病は、完治できる病気は少なく、病気と上手に付き合いながら進行を遅らせるようにうまくコントロールすることがとても大切です。できるだけ、早めに発見し治療してあげれるように心がけております。

犬と猫の心臓病

症状がでていないと治療はいらない!?

オーナーの皆様は、もし自分が心臓病と診断されたらどう思いますか?

① え!?本当に!?
② 〇〇○病ってどんな病気なの?
③ これからどんな症状がでてくるんだろう・・・
④ 手術や移植が必要なのかな・・・
・・・etc

いろいろなことを考えるのではないでしょうか?
様々な検査や内服薬、はたまた手術などいろんな治療を受け入れると思います。

ところが、犬や猫が心臓病であると獣医師が告げると「症状がないのでまだ様子をみます。」と他人事のように受け流されてしまう場合もたくさんあります。とても残念なことですが、心臓病は完治することがない難しい病気です。

症状がでていなくても、どういったタイプの心臓病か?内服する必要はあるかどうか?これから気をつけてみないといけないことは何か?など検査をして得られる情報はたくさんあります。症状がではじめてから検査や治療を開始しても生存期間は1−2年ほどです。

そして、ほとんどのオーナー様は症状がひどくなった状態から何種類もの薬を飲んだり、来院や入退院を繰り返したり、大変な思いをされる場合も多く、もっと早く治療を開始してあげればよかったと語られます。

心臓病は早期発見・早期検査や定期的な検査をしてあげて、進行や症状の出始めてくるタイミングでなるべくスムーズに治療してあげることが大切な病気です。可愛い我が子と1日でも長く幸せに快適に暮らせるように、心臓病という病気を受け入れていただきたいと思います。

心臓病と診断

心臓病ってどんな症状がでるの?

① 食欲ムラがある
② なんとなく元気がない
③ 疲れやすくなってきた
④ 散歩に行きたがらない、すぐに帰ろうとする
⑤ 咳がでるようになってきた

など、なんとなく年を取ってきたなぁ〜という症状が多く、とても見逃しやすい(病気のサイン)です。症状が進行してくると、

① 咳が止まらなくなった
② 急にぐったりした
③ 食欲廃絶
④ 呼吸が荒い(肺水腫や胸水)
⑤ お腹がボッコリしてきた(腹水)
⑥ 失神や痙攣をおこした

など、明らかに重篤な症状をひきおこしてくる子が多く見られます。

どんな症状

僧帽弁閉鎖不全症

■どんな病気?
僧帽弁閉鎖不全症は犬の心臓病の中で最も多い疾患です。僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁のことです。左心室から大動脈に流さないといけない血液が、弁がきちんと機能しない影響で左心房の方へ逆流してしまい、全身に送る血液量が減少してしまう病気です。

■症状は?
逆流があっても心臓の機能が十分ある初期の頃は、無症状です。中期になると、何となく元気が無い、疲れやすくなった、咳、呼吸困難などの症状がでてきます。

■検査と診断
聴診、血圧、心電図検査、胸部レントゲン検査、心エコー(超音波)検査で診断します。特に心エコー(超音波)検査は最も重要な検査で、正確な診断だけでなく重症度や左心室の機能の評価をおこなうことができます。

■治療
ACE阻害薬・強心薬・利尿薬などを投薬します。定期的な胸部レントゲン検査や心エコー(超音波)検査も重要です。

僧帽弁閉鎖不全症

心筋症

■どんな病気?
心筋症とは、心臓を動かす筋肉に異変がおこる心臓病です。
ドラマや小説などで心臓移植や、バチスタ手術などででてくる病名のため知っているオーナー様も多いと思います。心臓の筋肉に異変が起こり心臓機能の低下を起こす病気です。

■症状は?
心筋症は、心臓におこる異常によって3種類に分類されます。

  • 拡張型心筋症:心筋の収縮力が低下して心機能が低下する病気です。血液を送り出す力が弱くなり、呼吸困難や血栓症などの症状がでます。犬に多いタイプの心筋症です。
  • 肥大型心筋症:心筋の厚みがまして心臓の要領が小さくなる病気です。一度に送る血液の量がすくなくなり、呼吸困難や運動機能の低下、咳、血栓症などの症状がでます。猫に多いタイプの心筋症です。
  • 拘束型心筋症:心筋全体が固くなって心臓が膨張しにくくなる心筋症です。

■検査と診断
聴診、血圧、心電図検査、胸部レントゲン検査、心エコー(超音波)検査で診断します。特に心エコー(超音波)検査は最も重要な検査で、正確な診断だけでなく重症度や機能の評価をおこなうことができます。

■治療
ACE阻害薬・強心薬・利尿薬などを投薬します。定期的な胸部レントゲン検査や心エコー(超音波)検査も重要です。

心筋症

犬糸状虫症(フィラリア症)

■どんな病気?
わんちゃんにとっては、ひじょうに重要な病気です。犬にしか感染しないように思われてるかたも多いですが、猫や人にも感染する場合がある病気です。犬糸状虫(フィラリア)は蚊の媒介によって感染し心臓の肺動脈に寄生して、右心不全を引き起こし肺や肝臓、腎臓に障害を引き起こします。

■症状は?
急性と慢性にわけられます。

  • 慢性:肺内高血圧症を引き起こし二次的に右心不全を引き起こします。肺動脈硬化症、心不全、肝硬変、腎不全を引き起こします。咳、運動不耐性、削痩、貧血、腹水の貯留などがみられます。
  • 急性:慢性症に加え、突然、血尿、呼吸困難、虚脱がおこります。大静脈症候群と呼ばれ、肺動脈に寄生した虫が心臓に移動し三尖弁閉鎖不全症を突然おこることが原因です。

■検査と診断
顕微鏡検査、抗原検査、胸部レントゲン検査、心エコー検査、血液検査。

■治療
いちばんたいせつなのは予防です。蚊の発生した時期の1ヶ月後から蚊がいなくなった1ヶ月後まで月に1回飲ませるタイプの薬や、6〜12ヶ月間予防できる注射薬で予防できます。

感染してしまった場合には、慢性では駆除剤や心臓のお薬の投与、急性では手術が必要になります。完治できる場合もありますが、治療中にも死亡率の高い病気です。

犬糸状虫症(フィラリア症)

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