耳疥癬:犬や猫の耳ダニ(ミミヒゼンダニ)は、飼い始めに多く、とても痒い感染症です。

今日は、最近の耳の診療中にビデオオトスコープ検査で耳ダニが見つかったので、耳ダニについてお話ししていきたいと思います。

●耳ダニとは?
耳ダニ症(耳疥癬・ミミヒゼンダニ)は、ミミヒゼンダニの感染によって起こる病気で名前の通り耳(外耳道)に寄生する病気です。

子犬や子猫の飼い始めの時期に多い寄生虫感染症で、褐色から黒っぽい耳垢が多かったり、しきりに頭を振ったり耳をかいたりしているときは、感染している可能性がありますので、検査や治療が必要です。

耳ダニは、外耳道に住み着いて、皮膚表面のフケやリンパ液を摂取して生活しています。皮膚表面を引っ掻いた時に、強いかゆみが出てくるため、これに感染するとものすごく痒がる症状をだす子が多いです。

●症状は?
 ①頭をふる
 ②耳を激しく掻く
 ③匂いのする褐色〜黒い耳垢がでてくる
 ④耳介が腫れてくる(耳血腫)
 重症化すると…
 ⑤平衡障害
 ⑥旋回運動
 ⑦斜頸
 などの内耳炎による前庭障害が起こることもあります。

●検査
 ①耳垢検査:顕微鏡検査で耳垢に耳ダニがいないかを確認します。 ②耳鏡検査やビデオオトスコープ(VOS)検査
    :外耳道の中を直接見て耳道の状態を観察します。

光によって逃げるため、なかなか見つけられない場合も多いですが、よく見ると白っぽいゴミみたいなものがもぞもぞと動いているのを見つけることができます。

●治療:治療期間としては約1ヶ月ほどかかります。
 ①駆虫薬による駆除
  治療法は、いろいろありますが、最近は、背中につけるタイプの駆除剤で駆虫することが多いです。他には、注射や局所に駆虫薬を使用しても駆虫できます。
 ②耳洗浄
  耳洗浄により、耳ダニ数をできるだけ減らし、耳道の環境を改善させるようにします
 ③必要であれば、抗生物質などの内服
  2次的に細菌感染や炎症を起こしているようであれば抗生剤や消炎剤などの内服をします

耳ダニ症は、治療によって完治できる感染症ですが、宿主特異性が低く感染している動物に接触した場合は感染をしていると考えた方が良いと言われています。
散歩などで野良猫や野生動物と接触した際や不衛生な環境にしているトリミング時の耳掃除やペットホテルなどでも感染する可能性があります。
耳掃除をしているけど耳垢がなくならない、耳をものすごく痒がるなどの症状が見られたときや、子犬や子猫を飼い始めたときは、動物病院で一度見てもらうことをお勧めいたします。



犬や猫の耳の構造について:犬の外耳炎は慢性化するとなかなか治らない病気です。耳を掻く、こする、臭う、耳垢減らないは要注意!早めに対策してあげましょう。

外耳炎とは?
外耳炎は、診療の中でも特に来院されることが多い病気です。
耳が臭い、掃除をしてもすぐに汚れる、耳が赤い、痒がる、頭を振る、頭を押し付ける、床に擦り付けるなどの症状がみられて来院されます。
今回は、耳の構造を説明します。すこしずつ、外耳炎について勉強していきましょう。

①耳の構造について

耳は外から耳介(耳の内側)から外耳孔(耳の穴)になり、外耳孔の奥がトンネル状の耳道になり鼓膜まで筒状になっています。

この耳介から耳道・鼓膜の手前までを「外耳」と呼び、集音や音源の発生源の特定をします。鼓膜の奥の空間は「中耳」と呼び、耳の防御や排水、換気の役目をしています。最後に奥のぐるぐるしたカタツムリみたいな骨を「内耳」と呼び、音を神経刺激に変換したり、旋回の認知や重力を脳に伝える役目をしています。

外耳炎は、耳介や鼓膜の手前まで炎症が起こることを指し、外耳炎が重症化して鼓膜に穴が空いてしまいうと中耳炎を引き起こしてしまいます。中耳は顔面神経や眼科領域の自律神経が隣接してあるため顔面麻痺やホルネル症候群などの神経症状も起こります。炎症がさらにひどくなると内耳に炎症が波及し、難聴・眼振や斜頸などの神経症状がでてきます。

犬や猫の耳道は、人と違い直線ではなく、L字型の構造をしており入り口付近の縦に落ちる耳道を「垂直耳道」鼓膜までの横に走る耳道を「水平耳道」と呼ばれています。耳道は皮脂腺アポクリン腺(耳垢腺)などを含む薄い皮膚で覆われており細かい耳毛が生えています。これらの腺から分泌される分泌液と角化物から耳垢が作られ、この耳垢には脂肪酸や免疫グロブリンなどの抗菌・抗真菌作用が含まれていて感染を防御しています。耳道の皮膚は鼓膜付近で作られて耳介の方に徐々に移動しいき、古くなった皮膚や異物を分泌物で耳垢にしながら外に排泄して耳の中を清潔な状態に保っています。

正常な耳は、自分の体の作用によって細菌や異物などの感染から防御されています。外耳炎になっている犬猫は線の分泌バランスが変化してると言われ、耳道の中の脂質の割合が変化し、湿度と温度が上昇して外耳炎を起こしやすくなると言われています。特に耳の垂れた犬種は、耳道内の通気性が悪いので湿度や温度が高くなりやすいです。ジメジメして水分があるため、細菌やマラセチアなどが繁殖しやすい条件が整ってしまい外耳炎を引き起こしやすくなるのです。

外耳炎の治療は、この原因の基を治療しないと再発が多くなったり、慢性化しやすくなってしまいます。
次回は、鼓膜についてお話ししたいと思います。