歯牙破折:犬や猫に硬いおやつは要注意!硬いおやつやおもちゃは歯が欠けたり折れる原因になります。

歯牙破折(平板破折、磨耗、露髄)
犬や猫で歯が折れた!かけた!と慌てて来院されることは意外に多いです。
特に多いのは、ひづめのおもちゃやアキレス腱や歯磨きガムなどの硬いおやつをあたえたら欠けてしまったとこられるケースです。

硬いおやつで破折した左上顎第4前臼歯

上の写真は、「ひづめのおもちゃ」を与えて左の上顎第4前臼歯が破折してしまい来院された子の写真です。犬や猫の前臼歯は「裂肉歯(シザーバイト)」という肉食哺乳類にみられるハサミの様な構造をしており、皮や筋肉を切り裂くための形をしています。そのため、硬いおやつやおもちゃなど噛み切れない硬さのものを与えると刃こぼれを起こすように歯が欠けてしまいます。
特に、上顎第4前臼歯(上顎奥歯の一番大きい歯)は接地する面が大きいため、歯が最も欠けやすい場所です。先日もお話ししたように、歯が折れた・欠けたてしまった場合は、歯髄に感染が起きる前に治療をすることが大切なためお早めの来院をお勧めします。そのまま放置していると痛みで口を触らせなくなったり、首を傾げたり、片側でご飯やおやつを食べるようになったり、ひどい場合には、鼻やほっぺに瘻管をつくり鼻水や頬が腫れたり、膿がでてきたりすることもあります。

今回は、「犬や猫の折れた歯・欠けた歯を残す治療」ひづめを与えたら左上顎第4前臼歯が破折し露髄をおこし、抜髄根菅治療を実施したケースのご紹介です。犬で、一番多く見られる第4全臼歯の破折です。

ひづめのおもちゃにより破折した左上顎第4前臼歯


口を痛がり何かおかしいな?と思い口の中をのぞいたら歯が欠けていたのを見つけ、折れた歯を残したいと来院されました。見つけたのは3日前ほどということなので、早めに全身麻酔下にて、破折した場所を検査し治療を行いました。

探針ブローブ検査で露髄を確認

肉眼的には、赤く露髄している箇所があり、周囲にうっすらと歯石があるため破折して直後の可能性は低そうです。探針プローブで検査すると露髄を確認できました。

歯科レントゲン検査でも、根尖への感染も認められないため、今回は受傷から2日以上たっている可能性が高いため、歯髄への感染も考えて、抜髄根菅治療にて治療していきます。
 
第4前臼歯は、歯の根が3本(3根歯)のため2カ所に穴を開けてアプローチし1本1本歯髄の中の血管と神経をファイルを大きくしながら取り除いていきます。
時折レントゲンで確認しながら、尖端まできちんとファイルが入っているか確認をしながら治療を進めていきます。とても時間のかかる処置です。


歯髄の中の血管と神経をきれいに除去をできたら念入りに消毒と乾燥をして、充填材で歯髄を密閉し、充填材がしっかりと入っているか歯科レントゲンで確認します。

充填材が入っていることをしっかりと確認できたら、最後に穴の開けた部分を、歯科用のレジンで埋めて綺麗に磨いて治療を終わりました。今後は、半年〜1年毎に感染が起きてないないか治療後3年目くらいまで歯科レントゲン検査で歯の根の状態を経過観察をしていきます。

犬や猫の歯が折れてしまった・欠けてしまったときは、「犬や猫の歯を残す治療」を行うこともできます。露髄している場合は、数日以内に治療を行うことで歯を残せる可能性を高くすることができます。

ひづめのおもちゃアキレス腱や歯磨きガムなどの硬いおやつやテニスボールやゴム製のおもちゃ、ゲージを噛むなど、歯を折れたり・かけたりする原因は身近に多く存在しています。犬や猫の歯を気にされているオーナー様も多いです。そのため、ペット用品コーナーで歯石予防や歯みがき効果などと記載されて販売しているおもちゃやおやつをいろいろ試してみたくもなるお気持ちもとてもわかります。
しかしながら、毎日の歯みがき以上に効果のあるデンタルケアは残念ながら存在しません。(もしあるなら、人が歯みがきをしないですよね?)
できるだけ、1日1回の歯みがきを習慣化し、なるべく歯が欠けたり折れたりしてしまうような硬いものを与えるのはできるだけ避けるようにしましょう。どうしても硬いおもちゃやおやつを与えないといけない場合や、ゲージなどを噛んでしまう場合は、定期的に口の中を覗いて欠けたり折れたりしていないかみてあげましょう。






口鼻瘻管:犬や猫の鼻から鼻水や鼻血がでる。それは、歯が原因かもしれません。

■口鼻瘻管(こうびろうかん)とは、
犬や猫の口と鼻が病的に繋がってしまう状態のことを言い、犬の歯科では比較的多く遭遇する病気です。犬種的には、ミニチュアダックフントに多く遭遇します。猫でも起こる場合はありますが犬に比べると稀です。

口鼻瘻管:犬歯が脱落し鼻腔に穴が空いている

歯石を放置したままにしていると歯周病が進行していき細菌によって歯槽骨(顎骨)をだんだんと溶かしていきます。上顎で歯周病が進行してしまうと、場所によっては歯根と鼻の穴の間の骨が非常に薄い部分で口鼻瘻管を形成することがあります。同様に下顎で歯周病が起こると骨が溶けてしまった場合は、骨の薄い部分で骨折することもあります。

■口鼻瘻管の症状は、
 ①鼻水や鼻血がでる
 ②くしゃみをする
 ③鼻の穴から食べ物や白い塊がでてくる
などの症状で来院されることが多いです。病院に来院された時に、歯が抜けてしまい目視で口鼻瘻管が存在している場合もありますし、歯がそのまま残っていて歯周病が見えないところで進行してしまい鼻水やくしゃみといった症状で病院にかかり全身麻酔下での検査で口鼻瘻管と診断される場合もあります。

今回ご紹介するのは、少し口鼻瘻管の場所を探すのに苦慮した子です。左の鼻腔より緑色の鼻水がでると来院されたわんちゃんです。 "口鼻瘻管:犬や猫の鼻から鼻水や鼻血がでる。それは、歯が原因かもしれません。" の続きを読む


秋の健康診断実施中です。健康診断は病気の早期発見だけではなく、健康であることを確認するための検査でもあります。

当院では、秋の健康診断を実施しています!
元気だから健康診断はいらないと思っていても・・・愛犬、愛猫の体の中でいつのまにか小さな変化が起きているかもしれません。秋の健康診断では、腎臓や肝臓が正常に働いているかと、赤血球や白血球の数を数え、貧血や炎症・感染などは起きていないかなどを調べることができます。
また、今回から新しく追加されたSDMAの検査では、腎臓病が従来の検査より早期発見できます。従来の血液生化学検査は、腎臓の機能が約75%以上失われていないと異常が検出できないと言われています。しかし、このSDMAの検査では約40%の機能が失われた段階で数値が高くなるとされています。
当院の看板猫のまいちぇる(約6歳)も元気で食欲旺盛でしたが、検査を受けた結果腎臓病だと分かりました。
現在は療法食と飲み薬で治療をしながら元気に過ごしています。

当院では健康診断を、7歳までは年に1回・8歳以上は年に2回をおすすめしています。元ぜひ、ご検討下さい。詳しくはスタッフまで!!


動物看護師 加藤


肝・胆道系疾患:犬や猫の肝臓病や胆道系疾患は無症状で進行していくとても怖い病気です。肝臓や胆嚢は健康ですか?健康診断などの検査で定期的にチェックをお勧めします。

先日の投稿でも8月は重症の子が入院や手術をしたりと投稿しましたが、今回は、その入院していた病気について(肝胆道系疾患)のお話を書こうと思います。

■肝胆道系疾患:肝臓と胆嚢を合わせて肝胆道系と言います。
肝臓と胆嚢は、胸とお腹の境界にある臓器です。肺から横隔膜を隔てて肝臓があり肝臓に包まれるように胆嚢があります。肝臓は、胃や十二指腸を包むようにあり、内臓の中では一番大きな臓器で生命を維持するために様々な仕事をする大切な臓器の一つです。

肝臓は、栄養素を代謝したり・コレステロールを胆汁に作り変えて小腸に分泌したり、エネルギー源を蓄えて貯蔵したり、体の中の有害物質を解毒して無毒化したり生命を守るためにたくさんの働きをしています。また、再生力と予備能力が非常に高い臓器で肝臓全体の4/5以上ダメージを受けても症状をださずに体を守るために自分の仕事をやり遂げようとする臓器です。そのため、「沈黙の臓器」と呼ばれ病気があったとしても症状がほとんど出ずに知らない間に病気が進行してしまい、手遅れになってしまうこともあります。

一方胆嚢は、肝臓で分泌された胆汁を濃縮し貯蔵する組織です。小腸に脂肪が入ってくると貯蔵された胆汁が胆嚢から放出されて総胆管を介して十二指腸へ分泌されます。


十二指腸には、総胆管(肝臓や胆嚢から胆汁を分泌する管)と主膵管(膵臓から膵液を分泌する管)があり、どちらも十二指腸を介して近くに存在するため小腸(十二指腸)・肝臓・膵臓のどこかの臓器で炎症が起きると残り2つの臓器にも炎症が波及してしまうこともあります。この病態は、三臓器炎と呼ばれ猫は総胆管と主膵管が一緒になっているため起こりやすい病気です。
炎症以外にも、胆管閉塞や胆嚢粘液嚢腫、肝不全や肝硬変、腫瘍など様々な病気になることがあります。

肝胆道系疾患
原因は?
 ①ジャーキー類の高カロリーで高脂肪なおやつ
 ②内分泌系の異常(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症)
 ③細菌感染
などがあげられます。特に、ジャーキーなどのおやつ類をたくさんあげている場合は、2〜3歳位でも胆泥症が見られたりする場合も多いです。

症状は?
 ①食欲の低下や廃絶
 ②吐き気や下痢
 ③腹部痛
 ④黄疸(白目や口の中、白い毛が黄色くなるなど)
などがよくあげられる症状ですが、ほとんどの子は無症状の場合が多いです。①〜④の症状が見られた場合は、重症化している場合が多いです。

検査は?
 ①画像診断:レントゲン検査や超音波検査、CT検査など
 ②血液検査:血球計算、生化学検査、炎症マーカー、膵炎マーカー、凝固機能検査など
 健康診断などで偶然見つからる場合も多いですが、検査などで見つかっても無症状の場合が多いです。その場合は、定期的チェックしながら経過観察を行ったり、食事の改善や内服薬などで予防や治療を行ったりもします。

治療は?
 無症状や軽症の場合
 ①内科治療:抗生剤や強肝剤、胆汁の排泄を促す薬などを使用します。
 ②食生活の改善:バランスの良い食生活にしていきます。

 何らかの症状が見られ病態が重い場合や胆嚢破裂など緊急度が高い場合
 ③外科手術:胆嚢切除、総胆管洗浄、腫瘍切除、肝臓生検など
       肝臓や胆嚢の病態に沿った手術を実施します。

今回ご紹介する、肝胆道系疾患になってしまった子は、Rちゃん11歳。
3〜4日前から食欲と元気がなく、食べたものを全部吐いてしまうと来院された子です。いつも元気いっぱいに爪切りに来院されるのに、明らかに元気もなく症状が重そうな状態でした。

続く… "肝・胆道系疾患:犬や猫の肝臓病や胆道系疾患は無症状で進行していくとても怖い病気です。肝臓や胆嚢は健康ですか?健康診断などの検査で定期的にチェックをお勧めします。" の続きを読む


歯の病気は見た目ではわかりません‼︎ 歯科レントゲンでのチェックが大切です

今回は、スケーリング(歯石とり)に起こったお話です。

歯石がついているとのことで来院したSちゃん。

先日、全身麻酔下でのスケーリングと歯科検診を実施しました。

上の写真は、スケーリングの後の歯科検診の時の写真です。

赤い矢印の歯が、今回のお話の歯です。

この歯は、歯石も少なく、歯茎の腫れや赤みもなく、とてもきれいに見えます。

触ってみると、ほんの少しぐらつきがありました。

        

歯科レントゲンで確認すると、この歯は歯茎の中で折れていることがわかりました。

折れた歯をそのまま放置していると、感染を起こして歯茎が腫れてしまったり、化膿したり、歯槽骨(顎の骨)を溶かしてしまい他の歯にも影響を及ぼしたり、ひどい場合には骨折をしたり腫瘍ができたりしてしまうこともあります。

今回は、抜歯治療をしました。

上の写真のように、残根(歯の根っこが残ること)がないように、歯科レントゲンで確認しながら抜歯をします。

上の写真のように、残根がないことが確認されたため、治療は終了です。

以前に抜歯をしてもらったことがある子の来院も多いですが、残根があるのに歯科レントゲンで確認されず、そのまま放置されていて、当院でのスケーリングの時にたまたま見つかるということもあります。

Sちゃんは数年前にも当院でスケーリングをしていて、その時の歯科レントゲンを確認すると、この歯は折れてはいませんでした。お迎えの時にオーナー様に確認すると、口を痛がる様子もなかったため、前歯が折れていることには気づかなかったそうです。

 

今回のように、歯の状態は見た目だけではわからないことも多いのです。

 

当院でのスケーリングは、歯科検診と歯のレントゲン写真でのすべての歯の観察がセットになったもので、今回のように、まだ症状のでていない歯の疾患の見逃しがないようにしています。

 

また、硬すぎるものを噛むことは歯を折ってしまう原因になりますし、硬いものを噛ませることが歯みがきの代わりになることはありませんので注意しましょう‼

 

嫌がる子も多い歯みがきですが、歯みがきペーストなどを使って美味しく、褒めながら楽しく歯みがきができるように頑張りましょう!

 

歯みがきが上手にできない、歯の状態や歯石などを見て欲しい などのご相談は、いつでもお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。