脾臓腫瘍 シニア期から多い病気です。なんとなく食欲がない、元気がない は、年齢のせいだけではないかもしれません。

脾臓の腫瘍は『なんとなく』が多い病気であり、『急に』も多い病気です。

初期の症状は『なんとなく食欲がない、元気がない』などであり、それを心配されて来院されることが多いです。

お腹を痛がる や、吐いている といった症状から脾臓腫瘍を見つける場合もあります。

ひどい時には、ふらついている(立てない)、急に倒れたなど、腫瘍が破裂してしまい、お腹の中に出血してしまい、貧血の症状が出てしまうことで来院される場合もあります。

脾臓の腫瘤は、血腫や過形成性結節と診断された場合は良性の腫瘤のため、手術による摘出後の予後は良好です。

すべての脾臓の腫瘤の1/3〜2/3は悪性腫瘍とも言われています。悪性腫瘍と診断された場合、抗ガン剤などでの積極的な治療もご提示しますが、これらの治療を行ったとしても、完治させることはできません。

しかし、良性の腫瘤であっても徐々に大きくなることが多く、悪性腫瘍で完治しないからとそのままにしておいていいわけではありません。

これは、破裂して大量出血を起こす可能性のある時限爆弾をお腹の中に常に抱えているような状態のため、少しでも早く手術で摘出することをお勧めしています。

以下は、最近来院された脾臓の腫瘤があった4頭のわんちゃん、ねこちゃんについてです。

 

元気、食欲がなくなったため来院されたBちゃん(わんちゃん・15歳)。

お腹の中に大きな出来物がみつかり、レントゲン検査とエコー検査で脾臓の腫瘤がみつかり、脾臓摘出の手術を行いました。

この子の腫瘤は病理検査で、『脂肪肉腫』と診断されました。

今後は、抗がん剤などでの治療になります。

 

同じように元気、食欲がなくなったとのことで来院されたAちゃん(わんちゃん・14歳)とKちゃん(わんちゃん・10歳)も、エコー検査で脾臓の大きな腫瘤がみつかりました。

Bちゃんと同じように脾臓摘出の手術を行い、病理検査に出したところ、結果は、『脾臓の血腫』という診断で、良性でした。

Aちゃん、Kちゃんの場合は、体調が戻れば、この治療は終了になります。

 

また、ネコちゃん(Kちゃん・8歳)でも同じような症状で脾臓の腫瘤がみつかり、脾臓摘出手術を行い、病理検査で『血管肉腫』と診断された子もいます(わんちゃんで多く、ネコちゃんでは稀な腫瘍です)。

この腫瘍は、わんちゃんの場合は抗がん剤での治療になりますが、ネコちゃんではまだ有効な治療法は確立されていません。

 

健康診断をした子で、脾臓に小さな腫瘤が見つかる子も少なくありません。

その場合は、その腫瘤に針を刺して細胞を取って検査(針生検)を行ったり、定期的なエコー検査をお勧めしています。針生検で良性の場合でも、大きくなってくるなら脾臓摘出をご相談していくようになります。もし、悪性の疑いがあったり、悪性腫瘍と診断された場合は、早めの手術をお勧めすることが多いです。

 

早期に発見することで、具合が悪くなる前に対応することが可能です‼︎

そのためにも、8歳以下の子は1年に1回、8歳以上の子は1年に2回の定期的な健康診断をしましょう。

当院の健康診断は、『お気軽コース』『しっかりコース』と2つのプランをご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。