犬や猫の歯ならびの矯正法:(無麻酔での矯正法)、飼いはじめの歯の噛み合わせと歯ならびの検査が大切です。

今回は、当院で行っている一番簡単な矯正のお話です。生後間もない子犬や子猫の歯並びの観察をしていると歯ならびの悪い子が比較的多く見受けられます。歯ならびの悪いままの状態でそのまま成長してしまうと、反対側の歯茎に刺さってしまい炎症や痛みを感じたり、上下の歯が当たってしまい口が閉じれなくなったり、削れてしまったりと様々な症状がでてきて来院される場合が多いです。犬や猫を飼い始めに、動物病院で定期的に歯を観察してもらい早めに対処してもらいながらアドバイスしていくと意外に簡単に矯正することもできます。

今回の子は、生後5ヶ月目のチワワのPちゃん混合ワクチン接種の時に来院された際に歯並びのチェックをしましたが、乳歯は生え変わっているものの、前歯の噛み合わせがあまりうまくいっておりません。
特に左側の下顎の犬歯が上顎の第三切歯を押し上げてしまい切歯が前の方に押されています。今回の場合は、麻酔下にて外科的に矯正することもできますが、飼われて間もないこともあり麻酔下での治療を希望されず、幸い邪魔な乳歯もなかったため無麻酔矯正にて経過観察をしていきました。模型や実際にやって見せたりしながら、おうちで毎日やってもらいます。下が一月後の写真です。
右の歯は上手に良い位置に矯正できています。左の歯は、だいぶ良い感じに矯正できていますがあと一歩というところです。再度無麻酔矯正のアドバイスをして、もう一度来院してもらいました。下が、無麻酔矯正から2ヶ月後の写真です。
だいぶ良い位置きています。あと一歩感はありますが将来的に障害がでる支障は避けることができましたし、何よりオーナー様が麻酔をかけることなく矯正できたため満足されていました。無麻酔での矯正法は、歯の根っこ(根尖)の成長が終わる前(生後約11ヶ月頃)までにできる治療です。生後5−6か月頃からが一番良いタイミングです。乳歯と永久歯の生え代わりを観察しながら、

① 乳歯がなければ無麻酔矯正
② 乳歯があれば麻酔下で摘出後→経過観察→無麻酔矯正
③ 麻酔下での乳歯摘出+外科的矯正

のいずれかの治療で永久歯の放出方向を見極めて、治療していきます。歯の成長が終わってしまうと、矯正器具を用いた矯正法や歯を削ったり、切断したり、抜歯をしたりと、物理的に当たらないようにする対症治療での治療となります。大掛かりな治療になるため、矯正器具の煩わしさや、痛みも多くなります。


わかりやすいタイミング的には、飼い始めから避妊・去勢手術をする時期まで、ワクチン接種などで病院に定期的に通う飼い始めの時期に、歯並びや乳歯の状態もしっかりとチェックしてもらいながら、一番その子によって良い歯の環境を作ってあげるようにしてあげましょう。